Skyting stjerner1-50

「まいどありーーーー!」
フリックが支払いを終えると、現金にもフリックとティルに握手を求めた亭主はご機嫌な笑顔で達の背に手を振った。
「・・しかし、あのインチキ男、竜洞騎士団の所へ行くと言ってたな。どうする?まだ日が暮れるまで時間はあるが。」
「もう一度だけ、竜騎士洞に行ってみようか。彼も何か知ってるかもしれないし。」
彼、というのはこの一連の出来事を起こしたヴァンサンの事である。自然と脳裏に軽やかな笑みで颯爽と去っていく彼が浮かび、思わず頬を引き攣らせたのは何もフリックだけではなかった。
テイアンから洞窟の入り口までは大した距離はない。日がくれる前に竜騎士洞に着けば、出来るなら極力関わりたくないヴァンサンは再び竜騎士洞の入口で門番と揉めていた。
「しつこい人ですね。駄目なものは、駄目なのです。」
門番は眉を寄せ、いかにも迷惑そうな表情をしている。そんな門番を見やり、ヴァンサンは大仰に嘆く。「おお、なんてことを言うんですか!」
「私は、あなたのことを思って言ってるんです。このヴァンサンはヨシュアの特別な友人なのです。それを追い返したとなれば、ただでは済みませんよ。」
ヴァンサンは人差し指を振ると軽く笑った。人差し指だけでなく、小指もピンと立たせており、見た目だけでなくすがすがしい程内面もナルシシズムに溢れた男である。
「あなた、新人ですね。今なら、許してあげますよ。」
「私は、ここを任されてから既に5年が経ってます。」
うろんげな目で淡々と答えた門番の返答により空気が固まる。が、ヴァンサンは硬直が解けると思い出したように両手を合わせた。
「おお、そうでした。この前、ここを訪れたのは五年と一ヵ月前でした。」
「いい加減にしないと、許さないぞ!このウソツキめ!」
「はは、またやってるぜ。」
フリックが乾いた笑みで言う。確かに呆れの心情を抱かないでもない。
フリックの呟きにヴァンサンはティル達の存在に気づいたようだ。解放軍の面々を見とめると、喜色の笑みを浮べて近付いてくる。
「これはこれは、心の友、ティル殿じゃないですか。」
いつの間にか心の友に昇格していたらしい。思わず笑みを固まらせたティルへとは同情の視線を向けた。
顎に手を当て、腕を組んだヴァンサンが尋ねる。
「あなたも、騎士団に用があって?それなら、無駄のようですよ。この石頭の門番が相手ではラチがあきません。」
首を振り門番に会うことを止める彼に、しかし前に出る者がいた。ハンフリーだ。
「しかし、我々はヨシュアに会わねば・・・」
「おや、どこかで見たと思えば。帝国百人隊長の中でもその名を轟かせていたハンフリーじゃないですか。あなたまで、解放軍に・・・・。」
大刀扱うだけあって、ハンフリーの体格はがっしりしている。頬はこけているものの、解放軍でも体格の良いビクトールと変わらない巨漢であった。彼は帝国内では名が知れているようで、ヴァンサンはハンフリーの姿に目を瞬かせる。やがて顎に手を当てたかと思うと、彼は意を決したように顔を上げた。
「ティル殿、心の友よ。いいことを教えてあげます。ついて来てください。」
確かに達に打つ手はなかった。正直宛にならない気持ちもあるが、今は猫の手でも借りたい。竜騎士洞の様子を見に来たのもあるが、元々彼に何か知っているかもしれないとここまで来たのだ。
どうやら苦手意識を持ったらしい、フリックはヴァンサンの申し出に苦虫を噛み潰したような顔をする。しかし打開策が見当たらず藁にもすがりたい解放軍は、彼へと連いていくことになった。
ヴァンサンに連れられ、竜洞入り口より離れた所へ向かう。門番の姿も見えなくなり、ややあって、大岩の前で彼は足をぴたりと止めた。眼前に聳える岩は成人男性以上に大きな岩で、「懐かしいなぁ。」と呟くとヴァンサンはおもむろに岩へと手を置いた。
苔や土がついた岩肌を確かめながら彼は言う。
「私は小さい頃よくこの騎士団領に遊びに来ていたのです。だから、ここの事はよく知っています。」
ヴァンサンは触れていた岩の前から体を横へと退かせ、ある箇所を示した。
「ティル殿、ここを見てください。この岩の裏から、中に入れるようになっています。」
大きな岩岩が重なるように聳えていたが、ヴァンサンの立つ位置に立つと僅かに人一人が通れる隙間が見えた。隙間の奥は重なる岩で光が遮られ、よくよく目を凝らしてみれば暗がりが続いていた。先に何があるかはわからないそこを例え見つけたとしても、余程の事でなければ入ろうとは思わないだろう。
「子供の頃はよくここで遊んだものです。」
ヴァンサンは目を細めると昔を懐かしむように言う。確かに子供の頃であれば、かくれんぼなどの遊びにうってつけの場所だろう。幼いヴァンサンが、他の子供同様元気よく外遊びをしていたとは大分想像しずらいが。
「ここから、騎士団領の中へ?」
「正解です。あなた、庶民の割には頭がいいですね。」
岩の隙間を覗いてみたフリックが、僅かにそこから流れてきた湿った空気に尋ねる。ヴァンサンの答えにフリックは思わず眉を寄せて振り返った。
「ムッ!!おい貴族野郎!それを知ってるなら、なんで、お前はここから中に入らない?」
ところがヴァンサンはゆりると首を振ると眉を寄せ、肩をすくませた。
「ノン、ノン、ノン、それは愚かな質問です。私のような貴族は、こそこそしたことはしないのです。」
「いい加減にしろ。」
思わずフリックは頬を引き攣らせて声も低くなった。それにヴァンサンは目を見開き、片腕を上げたかと思えば次には天を仰いだ。
「おおお、ティル、心の友、あなたは信じてくれますよね。ああ、良かった。あなたにまで疑われたら私はどうしようかと思いました。では、気をつけてください。中は、結構危ないですから」
最初こそは天に祈るかのように言っていたのだが、彼は心の友の声を心で感じ取ったのか、ティルが何一つ言うこともなく話を自己完結してしまった。とりあえずは再び、浮かべた笑みを僅かに固まらせたティルへと同情の視線を向けるのだった。
そうしてヴァンサンに見送られ、達は一人一人洞窟の中へと入っていった。
洞窟は狭かった。もう随分と人が通っていないのか、石が足場にいくつも転がっており大分歩きづらい。加えて僅かだが湿った空気の中に異臭が漂っていた。フリックなどは入った途端思わず眉をしかめたほどだ。
「おい、なんなんだこの臭いは?」
答えたのは今回の旅について来た、竜騎士団長のヨシュアと旧知の仲であるハンフリーだ。常に唇を真一文字に引き結び、左右の口角すら下がっているハンフリーは、僅かにあけた隙間から低い声を出す。
「・・・・竜特有の臭いだ。ここは竜騎士団領だからな。」
洞窟内は無音で、硬い壁に反響し風の音のみが響き渡っていた為、もしかしたら・・・・と続けざまに彼が小さく呟いたのも、一同に聞こえた。しかしそれについて尋ねたところ、彼はなんでもないと首を振るだけであった。寡黙な彼は喋らなくもないのだが一度口を閉ざしてしまうと、中々話しを再開することはない。その為こうして彼が口を閉ざしてしまった今、誰もが続きを聞き出そうとする事はなかった。
、暗いから足元に気をつけて。」
の前にいたティルが振り返る。は頷きを返し、薄暗く狭い洞窟内を進み始めたのだった。

「おっ。広いとこにでたな。ここはどこだ?」
幾らか歩いた所で、それまでの狭い洞窟内とは違い開けた場所へと出た。
やはり窮屈な場所よりも広い場所の方がいい。相変わらず視界は黒のヴェールがかかっているかのように薄暗いが、天井へと顔を向けフリックは声を弾ませる。その時ハンフリーが何かをまた呟いた。 「えっ?なんのことだ?」聞こえずに思わず聞き返したフリックに、今度は少し声音を大きくし、ハンフリーは言う。
「・・・足元」
「足元って、」
その言葉を最後に、突如フリックの姿が消えた。
は驚き、先頭を歩いていた彼が居た筈の場所へ慌てて駆けつけようとして、襟首を掴まれる。思わず潰れた蛙のようなうめき声が出た。眉を寄せながら見れば、の襟首を唐突に掴んだのは、フリックの次に前を歩いていたルックだった。
溜息を吐き出しそうな表情で彼は言う。
「足元を見ろっていってんの。」
なにが、と襟元を正しながらは不満な表情で、苦笑を浮かべた、いつの間にか隣に来ていたティルと共に足元へと視線を向けた。そうして口元を引きつらせた。
「軽い崖だね。」
と、同じくそれを確認したラズリルが視線を向けつつ淡々と言う。薄暗い為気づきにくかったが、目を凝らしてみれば確かに、地面は一定の線を越えると暗闇が濃くなっていた。
「フリック、大丈夫?」
闇に混じり僅かに見える青色に向かってティルが声をかけた。僅かに響いた後、崖下にいる青色、したたかに腰を打ちつけたフリックが腰を摩りながら、苦々しい口調で言う。
「・・・・ハンフリー、そういう事はもっと早く言ってほしい。」
ちなみにその目尻には僅かに涙が浮かんでいたことは彼だけの秘密である。
「さて、どうしようか。」
「ティル様。私に案があります。」
目測で崖は三尺程だろう。そのまま降りれない事もないのだが、女性陣、クレオはわからないが、にはまず無理である。加えて万一の可能性もある。顎に手を当てそうティルが思案していると、そこでクレオが声を上げた。クレオは自身の肩にかけていた麻の布袋を降ろすと、紐をときその中から太く頑丈に編まれている縄を取り出したのだ。達は用意周到にも縄を持っていたクレオのお陰で、縄の先を人一人の体重では動きそうにない近くの岩にくくりつけ、難なく下へと降りる事が出来たのだった。ただし最初に落ちた約一名を覗く。
「そこで何をしている!」
最後にハンフリーが降り終わると、洞窟内に声が響き渡った。
未だ辺りは薄暗いが、達が降りた場所から見える先の天井の割れ目から光が差し込んでいる。その光の柱により、一人の女性の姿が浮かび上がった。
「なんだ?貴様らは。ぞろぞろと、泥棒にしちゃ少し厚かましいんじゃないかい?」
まず彼女の髪の色が浮かび、そう言って更に一歩近づいたことから女性の全容が浮かび上がった。亜麻色の髪はサイドだけ伸ばした短髪だが、前髪は目に掛かる程長く、横に流し現れた眼は鋭い。頭の両サイドにまるで北欧神話の戦乙女ヴァルキリーのような翼を象った飾りのついた兜を被っており、それを見て白い肌という事も合わさり、は彼女が戦女神のように見えた。
女性が鋭い眼差しで達を一瞥していると、フリックが思わずといったように声を上げる。
「お、俺達は・・・」
「ティル!」
しかしそれは再び上がった新たな声、それも幼さの残る声に遮られた。微かな足音と共にこちら側にくる。浮かび上がったのは女性のものと似た兜をした少年であった。 濃げ茶色の髪に眼光はきついものの、表情にあどけなさの残る彼は名を呼んだティルへと視線を向けており、ティルもまた少年を驚いた表情で見ていた。
「あんた、ティルだろ。覚えてないのかい?」
「覚えてるよ。魔術師の塔まで俺達を運んでくれた、フッチでしょ。」
笑みを携えそう答えたティルに、少年、フッチは嬉しそうに頬を緩ませると「そうそう覚えてるよな。」と頷いた。
そしてここでも名を知られていたらしい。女性が驚いたように声を上げた。
「ティル?すると、あなたが解放軍のリーダー・・・。」
「ティル・マクドールと申します。勝手に領内に入ってしまい申し訳ありません。実は騎士団長のヨシュア殿にお話が・・・。」
ティルがそこで改めて名乗り、謝罪と訪問の旨を告げる。仕方なかったことではあるが、竜騎士団領への不法侵入である事に変わりはない。しかし女性はそれを咎めることはなかった。
硬い表情、ともすれば沈鬱な表情で頷く。
「・・・・分かりました。この様子を見られた以上、ヨシュア様に報告しなければなりませんから。私はミリアといいます。こちらはフッチ。私達は先に行き、ヨシュアさまに報告をします。この洞を抜けると竜騎士の館はすぐに見えますので。
行くよフッチ。」
それだけ言うと、踵を返しその場を足早に去っていく。フッチは解放軍の面々を振り返り、ティルを気にかけるような素振りを見せたが、ミリアに従い、やがてその場を去っていった。
どの材料をとってもあちら側の方が有利であるというのに、まるで何かをしでかしてしまったかのようなミリアの態度であった。ミリアと話しているうちにでも気づいた。不可解なそれは、うす闇の中、それまで風の音であると思っていた僅かな寝息を立てて、眠り続けているその場の竜達に関係しているのかもしれない。
多くの竜が眠る開けた場所から歩いてすぐ、達は外へと出た。数時間の間ではあったが、薄暗い洞窟内いた為久しぶりの外に、は思わず外に出た途端背筋を伸ばした。ただし、視界は霧で塞がれていて、清々しいとはお世辞にも言えない。も大森林での霧がたちこもる朝に慣れていなければ、その様子に度肝を抜かれていただろう。
「大分奥まで来たみたいだな。そういえば、俺達は地図のどこを通ってきたんだ?」
霧は通常海か山付近に現れる。この辺りは陸地のみであるし、地面まで達するような深い霧という事は山のふもとに現れる低い霧であろう。外に出た後フリックの疑問に答えたハンフリーだった。
「・・・山脈をくぐってきたんだ。」
ハンフリーの言葉にフリックが関心したように頷いた。
霧のたち篭る中、前方に僅かに見えた高台の上に立てられた塔へと向かって達は歩き出す。その最中、はティルから先程のフッチという少年の事を聞いた。なんでも以前、ティルが帝国兵であった頃、任務でフッチと関わり、フッチの竜と共に魔術師の塔へ星見の結果を受け取りに向かったのだという。
星見、ではふと思い出すことがあった。星見という言葉は以前聴いたことがあったからだ。それとなくその言葉を聞いた本人へと視線を向ければそれほど距離が離れていない事や本人自身が地獄耳であるはずなのに彼は相変わらずのすまし顔で、視線に気づいているはずであろうが聞こえていない振りをしていた。それに気づいたティルも察しがついたのだろう。魔術師の塔にはどっかの誰かさんもいたのだという。つまりティルは解放軍に入る前に、ルックと会っていたのだ。人の縁とはどこで何が起こるか判らないものだなぁとつくづくは思うのだった。
そうこうしている内に、高台へと着いた。高台を上れば竜騎士の砦。聳え立つ外装は砦というよりも、城のようなものであった。規模は解放軍のものに劣るものの、ガランの間所以上はあるだろう。砦につくと同時に、城の前に立っていた兵に達は竜騎士団長、ヨシュアの元へと案内された。
案内された部屋に入れば先程のミリアと長身痩躯で、精悍な顔をし、長い銀髪を頭部の後ろで一つに結んだ男が話し込んでいた。
そこへ部屋に入ってきた達に気づいたミリアが、男に声をかける。
「ヨシュア様、この者達が先程の話のものです。」
ミリアに即され竜騎士団長ヨシュアが一同を見た。と鋭い目つきを一遍させ輝かせる。
「ハンフリー!ハンフリーじゃないか、久し振りだな。」
喜びも露にそう声をかけるヨシュアに、ハンフリーも普段は変わらない表情を緩ませる。
そこでヨシュアが何故か、僅かに表情を曇らせた。
「心配していたのだぞ。あのカレッカの事件の後、全くの行方知れずだったからな・・・。」
「いろいろあってな。ヨシュア、こちらが解放軍を率いるティル殿だ。」
ハンフリーはティルを示し、ヨシュアの視線もティルへと移った。ティルを見たヨシュアが、やはり解放軍のリーダーの思っても見ない若さに、どこか関心したように言う。
「あなたがティル殿・・・。私が竜洞騎士団、騎士団長ヨシュア。解放軍の噂は聞いていますよ。」
「今日は、大事な話があって来たんだ。」
「大事な話・・・。というと?」
ハンフリーが再びそう言い、ヨシュアが眉を僅かに寄せる。そこへティルが申し出た。
「解放軍に、力を貸して頂きたいのです。」
「解放軍に・・・。確かに、今の皇帝、いや帝国に対し我々竜騎士達の不満も高まっているが・・・。」
そこでヨシュアが一つ溜息を吐くと、重々しい表情でティル達を見た。
「あなた方はあの光景を見てしまったそうですね。あれを見られないよう、出入りを禁止していたのですが・・・。・・・実は数か月前から、突然竜たちが眠り込んだまま、目を覚まさなくなったのです。いろいろ手を尽くしたのですが、どうにもならずに・・・。
なので力を貸そうにも、今の我々にはないのです。」
「眠ったまま・・・」
驚いたようにハンフリーが呟き、ヨシュアは相槌を打つかのように続ける。
「多くの医者を連れて来たのですが、誰も治すことが出来ませんでした。神医と呼ばれていたリュウカン殿にも使いをやったのですが行方知れずで・・・。」
解放軍の面々に、僅かな衝撃が走った。彼の今の言葉に聞き捨てならない言葉があったからだ。フリックが思わず、と言った様に言う。
「リュウカン殿、と・・・?」
「はい。当代きっての名医ですから。彼ならきっと治してくれるだろうと思ったのですが・・・生憎・・・。」
「これは幸いです。今リュウカン殿は解放軍に居ますので。」
「なんと・・・!」
驚きに目を見開くヨシュアに、ティルが笑みを浮かべて頷く。
「是非お力を貸させて頂きたい。」
「願っても見ないお言葉で・・・。ありがとうございますティル殿。」
一段落したその場に、冷ややかな声がかかった。
「・・・で、そのリュウカンは誰が連れてくるの?」
「お願いね。」
にこり、と笑顔を浮かべたティルに、声をかけたルックは僅かに頬を引きつらせた。この場で転移魔法を使えるのはただ一人、ルックしかいない。も思わず「がんばって!」と声をかければ、ルックは嫌な顔を見せることもなく早々とその場から転移してしまったのであった。鮮やかなスルー具合に泣きそうになった。
それから間も無く、ルックはリュウカンを連れて転移で戻ってきた。
日が変わる前に竜洞へと再び戻り、リュウカンに竜を視て貰う。少しの診療の後、ミリアが息を呑み、険しい表情でリュウカンへと尋ねた。
「どうですか?リュウカン殿。」
リュウカンは眉を寄せたまま答える。
「うむ。これは病ではなく、毒じゃな。眠りの毒を飲まされている。」
「病気じゃない?」
驚いたようなヨシュアにリュウカンは頷く。
「ああ、そうじゃ。何者かが、竜達に毒を飲ませたのだ。」
「それで、治す方法はあるのでしょうか?」
「解毒薬はつくれるが、材料が必要だ。材料は、月下草、黒竜蘭、そしてもう一つは・・・。」
「もう一つは?」
ヨシュアが再度尋ねたが、リュウカンは首を振る。そして一つ堰をすると告げたのだった。
「いや、まずはその二つを集めるんじゃ。月下草はシークの谷に生えているはずじゃ。」
その時、誰もがリュウカンに注目していた為、端に居たフッチが、「やっぱりあの時・・・」と呟いた声に誰も気づくことがなかった。

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