Skyting stjerner2-7
「もう!どけどけどっけー!!」ナナミを助けに向かうと、建物から勢いの良い少女の声が聞こえた。溌剌としたそれは、どうにも本人のものような。空耳かとリオウとジョウイに視線を向ければ、ジョウイはさっと視線を逸らし、リオウは苦笑を浮かべて頷く。
達は走る速度を早め、声がした方向へと向かった。そうして広がっていた光景に、覚悟はしたものの達は呆気にとられる。
「急いでるんだからぁ!リオウとジョウイを助けるんだぁ!」
外で繋がる回廊に、ナナミはいた。丁度達がたどり着いたとき、彼女は兵士の側頭部に思いきり三節根を叩き込んでた。それも打撃に兵士が鼻血を流し辛うじて耐えても、すぐに右から2度、再び左から3度打ち込むという徹底ぶりである。堪らず兵士は地面へ倒れこむ。大の男相手にナナミは怯むこともない。加えて驚くことなかれ。彼女の後ろには既に3名の兵士が倒れていた。
まだ残る兵に向かって、ナナミは目くじらを立てて言う。
「もおお怒った!ゲンカク直伝!奥義! 花鳥風月百花繚乱龍虎万歳拳をくらわすわよ!!」
そういうや否や、ナナミと彼女とともに脱獄したのだろう、彼女の後ろからムクムクがその場で構えを取る。容赦なく仲間がコテンパンに伸されていく様を見ていた兵は、慌てて顔の前に手を出した。
「な、なんだそりゃ・・・ま、待て・・・ひ、ひぃー!!」
「ようし!待っててねリオウ、ジョウイ、今すぐ助けにいくんだからね!」
意気込んだナナミは、今度は逃げる兵士を追いかけ始めた。
苦笑を浮かべるリオウと額を抑えるジョウイの隣で、あ、あれぇ?と目を疑ったのは、何もだけではない。
そうして兵士を追いかけるナナミが、達の前を通りかかったとき、ようやく彼女はリオウ達に気がついたのだった。大きなこげ茶色の目を瞬かせ、足を止めたナナミに兵士はこれ幸いと逃げていく。
「ちょっとちょっとちょっと、リオウとジョウイ、ここで何してるの?処刑場へ行ったんじゃないの??」
「助けに・・・一応・・・。」
頬を引きつらせつつ、ジョウイが答える。ナナミは目を丸めた。
「あれ?あれ?偶然だね。私もリオウ達を助けにいく所だったんだよ。」
女性は強いというが、ナナミ程強い少女も中々いないだろう。は思わず乾いた笑みを浮かべた。
「ところでさっきの奥義って・・・、」
「え?あ!気にしない気にしない!それより、逃げるんでしょう。」
尋ねるジョウイに、ナナミを笑みを浮かべて首を振る。
逃げる、という事を一連の出来事で忘れかけていた達は、我に返るのだった。
処刑されるはずの三人が居る事に住民達から驚きの視線を浴びつつ、達は街中を走る。想定された追手は数名いたが、さすが元解放軍幹部のビクトールとフリックだ。彼らが一般兵に後れを取ることはなく、今の所問題はなかった。
キャロの街はもともと小さな街だ。ほどなくして達は街の入り口へと辿り着く。そのまま急いで出ると、門を出たところでナナミが待ったをかけた。
ナナミはキャロの街を振り返り、呟く。
「リオウ、ジョウイ・・・私達、もう一度ここに戻ってこれるのかなぁ・・・。」
「戻れるよ。」
辺りがの空気が重くなる。けれどそれに即座に答えたのは、だった。ナナミを見て、笑みを浮かべる。
「戻れるよ、絶対。諦めなければ。ーーだって、故郷でしょ。ね、リオウ。」
「うん、そうだよ、大丈夫だよナナミ。」
「いつか戻ってこられるさ。」
リオウに続いて、ジョウイも言う。そこで沈んだ様子だったナナミはようやく、快活な笑みを浮かべるのだった。
「そっか、そうだよね。じゃ、ちょっとだけサヨナラって事だね。」
「よし、んじゃ行くぞ!」
ビクトールの言葉に頷くと、 達は急いでキャロから離れていった。
燕北の峠へと入り、霧の中を急いで進む。一刻も早く、ハイランドから出なければならないからだ。魔物こそいたが、行きはリィナ達と賑やかに通っていた道も今は足を止めることもない。元々キャロの街にいた時頃には日は暮れており、峠に入る頃には日が落ちてしまっていた。以前は霧の魔物がいるという事から余裕を持って動き、1度野宿をしたが今はその時間も惜しい。いつ追手に追いつかれてしまうか分からない。いくら手練れのビクトールとフリック、そしてやリオウ達が一般兵よりも僅かに強いといっても、多勢には対応しきれない可能性もある。
ビクトール達が持っていた携帯用のランタンと、火打石でつけた松明の火をそれぞれ持って、足元に気を配りながら峠を確実に進む。
明かりは敵の目印にもなってしまうが、霧が濃い峠では遠目から見えることはないだろう。いくら明かりを持っていても、日が落ちてしまえば辺りは暗闇に包まれている。用心からスピードもかなり落ちたが、足を止めて夜が明けるのを待つよりは良い。
道中脇に湧いていた水で喉を潤し、やっと都市同盟の境目に来た時は、明け方だった。
道が開け、達はようやく肩の力が抜く。疲労の色を隠せない達とは違い、先頭と最後尾を担っていたビクトールとフリックは悠々と涼しい顔である。同じように息も絶え絶えなリオウ達とビクトールを比べ、改めて解放軍幹部の体力には唖然とするとともに、実に頼もしく感じた。やっぱこの人たち体力お化けだわ。
国境を警備する都市同盟兵士にビクトールが片手を上げて声をかける。
「よお、ごくろうさん。」
「あ、ビクトールさん!!大丈夫でしたか?まったく無茶を言うんですから。」
ビクトールと知り合いだったのか、気づいた兵、以前リィナの策で通ることを許可した隊長の兵士が、ビクトールを振り返り文句を言う。ビクトールは快活に笑いながら頭を掻いた。
「はっはっは!すまんな。」
「無事だったからよかったものの、傭兵隊員を勝手にハイランドへ通したことがミューズ市にバレたら大事ですよ。この事は内緒にしておいて下さいよ。」
「もとはと言えば、お前がこいつらをこっそり通したりするから、悪いんじゃないのか?」
「え、そ、それは・・・。」
鋭く突っ込みをいれたフリックに、兵は言葉を濁す。フリックは一つ息を吐いた。
「ま、安心しな。この通りこいつらも無事だったからな・・・。」
それに安心したように胸を撫でおろす隊長に、共に警備に当たっていた部下が思わず呆れた視線を向けた。
無事国境を越え、ようやく一息をついた面々を見回し、ビクトールが言う。
「とりあえず、そこの嬢ちゃんは始めまして、だな。俺はビクトールだ。」
ビクトール達は余裕そうであったが、達はいつ追手に追い付かれてしまうか分からない中、慣れない夜の峠に集中し会話も必要最低限なものであった。リオウ達はビクトール達を知っているが、彼らとナナミは名乗っていない。改めて自己紹介をするビクトールにナナミは軽く頭を下げる。
「あ、私はナナミっていいます。そこの青い人は?」
「あ、青い人・・・。」
青い人と称されたフリックが頬を引きつらせる。思わず達は噴出してしまう。確かに青いバンダナに青いマントで、総じて彼は青い人、と見なされることが多かった。以前が共に居た解放軍内でもよく揶揄られていた。笑いは中々に止まらなかったが、睨むフリックによりなんとか達は笑いを引っ込める。改めるように一つ堰払いしてから、彼は名乗る。
「フリックだ。」
「で、彼女が 。ほら、ナナミに紹介したい友達がいるって言ったでしょ。」
この世界は基本的に、女性は旅をせず家にいることが多い。希にいたとしても、同じような年頃の、加えて同性はなかなかに久しい。どきまぎしながら彼らに倣い、ナナミに自己紹介をしようとした所で先に言われてしまい、思わずは恨めしげにリオウを睨んだ。それに気づいたリオウは呆けた振りをし、の視線は更にきつくなる。
「あ、この人が・・・。」
「うん。もう ったら変なんだよ!」
「だから!その紹介は止めようよ・・・!」
「本当のことじゃ「ない。」」
それをきっかけに、リオウとが言い合いを始めた。賑やかな様子にビクトールが笑う。
「お前ら、仲いいなー。」
「だな、あいつ等がいなくて・・・・本当に、よかった。」
「・・・ああ。」
「あいつ等?」
「「気にするな。」」
ビクトールとフリックの表情が僅かに固くなるのをジョウイが不思議がる。だが行き成り顔を青ざめさせん勢いになった二人は、口を固く閉ざしてしまった。
彼らの様子に、更にジョウイの好奇心が向けられるが、やはり大人二人は押し黙ったままだ。とリオウは、変わらず言い合いをしている。だから、その場の面々は、明るいナナミの笑顔が僅かに曇った事に気づかなかった。
燕北の峠を越えるまでの勢いを、国境を越えた事から緩ませ一度軽くリューベの村で仮眠をとってから砦へと向かった達は、日が落ちた頃に傭兵の砦に到着した。
砦を見上げたビクトールが目を輝かせる。
「おお、帰ってきたぜ。懐かしい我が家よ。」
「このオンボロ砦がか?」
鼻で笑うフリックを、ビクトールは睨めつける。
「うるせぇなぁ俺は気に入ってるんだよ。なぁリオウ達、そんなに悪かねぇよな。」
「ここがぁ、そうかなあ・・・。」
「はっはっは!!子供にゃぁこの良さはわからんか。」
そう言って笑うと、面々に向き直る。夕暮れにリューベの村を出たため、辺りはもう真っ暗だ。遠くでフクロウが鳴き、空には月が覗く。寝足りなかったのかビクトールは一つ大きなあくびをすると、達に振り返った。
「さあてと、俺は先に休ませてもらうぜ。お前らも疲れただろうからゆっくり休んだほうがいい。わからない事があったら酒場の女主人、レオナに聞きな。」
そこでジョウイが眉を寄せる。
「僕達は捕虜なんじゃ・・・。」
「ん?まぁそうなんだが・・・手間さえかけなけりゃあ、好きにしてな。やる事がないなら仲間探しでもしてくれ。人手が足りなくてな。」
そこである事を思い出し、ビクトールは声を大きくした。
「おお、そうだ。今は部屋も余ってるからな。だからもう牢で寝泊りする必要はないぜ。女は女、男は男で寝る事。わかったな、。」
「別に、そこまで言われなくてもわかってるよ。」
恩人を差し置いて、悠々と一人部屋で寝ることは出来なかったからだ。誰も好んでやっているわけではない。眉を寄せ抗議するを無視して、ビクトールは続ける。
「ほとぼりが冷めるまではゆっくりしてな。そのうちハイランドに戻れる良い方法を考えてやるよ。」
「って、髪伸ばしてるの?」
切れ長の金色の目に漆黒の髪、総じて端正な顔立ちの青年がそう尋ね、は目を瞬かせた。
「なんでまた、行き成り。」
朝、野宿をしている近くに流れている川へと顔を洗いに行き、後から来た青年とは川辺に座り込み、談笑していた。そこで突然、青年、ティルがそう尋ねてきたのだ。
青年は特に意味はないけど、と前置きしてから、以前から気になっていた事を尋ねる。
「髪の毛を邪魔そうにする割には、切らないから。」
は合点する。彼の言う通り、モンスターとの戦闘を終えたり、旅の合間に行っている鍛錬の後、何度か長く伸びた髪を邪魔に思った事があったのだ。それが態度に出ていたのだろう。は頬を掻くと、視線を泳がせながら旅の仲間である彼に答えようとした。
「えっと、なんとなく。」
の曖昧な返答にティルが怪訝そうになったので、慌てて更に言う。
「髪長いの、似合わない?」
「そんな事ないよ。むしろ俺は、そっちの方が好きかな。」
こういう所が、は苦手であった。彼はさらりとなんでもない事のようにこう言うのだ。嬉しい事ではあるが、しかし彼に言われると、それはにとって嬉しすぎるものなのである。は顔が熱が集まるのを自覚し、彼の視線を少しでも逸らす為肩を押そうとした。それをティルが掴む。
唐突に手を掴まれ目を白黒させるを他所に、ティルはの手を眺め、指を一つ一つ確かめるように触りながら言う。
「手も指も、声も髪も、の全部が好きだから、少しでもが感じられるものはあった方がいい。」
そう言うと、ティルは微笑む。だから、とは勘弁してくれといった心境で顔が赤くなるのをもう抑えられなかった。沸き上がる羞恥と照れを誤魔化すように、声をあげる。
「今はなんで私が髪を伸ばしてるかって事でしょ!」
「なんで?」
「それは、ちゃんが坊ちゃんの傍にいられるように、ていう願掛けをしているからですよね。」
途端、は一気に熱が吹き飛んだ。そしてそれが再び戻ってくると、はこちらにやってくる彼に、非難交じりの声をあげる。
「グレミオさん!」
「・・・言ってはいけませんでしたか?」
声を上げるに、グレミオは眉を下げる。思わずは言葉を詰まらせた。はグレミオのその表情に滅法弱い。口を閉ざし、無意味にもごもごと動かす。
の髪を伸ばしている理由。それは願掛けの為であった。切っ掛けは解放軍にいる頃、グレミオに髪を伸ばしている理由を聞いた時の話だ。
彼の髪は長い。男性である事から怪訝に思い、ある時尋ねたのだ。するとそれは、彼の使える坊ちゃんの傍にいられるようにという願掛けの意味がある、と彼は苦笑しながら教えてくれた。は酷く感心し、同時にもまた、その日から願掛けの意味を込めて髪を伸ばすようになった。それが彼に対する好意からであると、まだ無自覚の頃の話である。
理由を聞いたティルが、目を瞬かせる。呆れるか、横目で彼の反応を伺っていたに、しかし彼は言う。
「そんな事しなくても、俺は傍にいるのに。」
だから、とは再び思う。
そこでの目は覚めた。
天井をしばし見つめた後、上半身をベットから起き上がらせ、窓から差し込む朝日に、目を窄ませる。久しぶりに、彼らの夢を見た。
はベット脇にある小さなテーブルの上に置いてあポーチを取るとその中から黒い髪の束を取り出した。
今では髪も短く、手入れが元から苦手なこともあり楽ではある。しかしそれが寂しいとは思う。
溜息を吐くと、手に取った髪を見下ろす。彼に会えない不安から手放すことなど出来ないなどと、我ながら女々しいと、はそれを見て小さく笑った。
***
「レオナさん、お早うございます。」
同室であるナナミと共に身支度を整えると、達は一階にある食堂へと向かった。既にカウンターに立っていたレオナに、は挨拶をする。そこで気後れした様子のナナミがレオナに近寄った。
「あの、おはようございます。これから、よろしくお願いします。」
「ああ、よろしくね。何か困ったことがあったら言うんだよ。」
柔らかな笑みを浮かべてそう言ったレオナに、ナナミも安堵したように笑顔を浮かべるのだった。
レオナから既に出来ていた朝食の乗ったお盆を渡され、食堂に既にいるリオウ達の所へと向かいながらはナナミに声をかける。
「レオナさん、いい人でしょ。」
「う、うん。」
僅かに戸惑うように口ごもったあと、ナナミは頷く。直後、一足先に既にテーブルについていたリオウ達の元へと駆けていった。
「おはようリオウ!ジョウイ!」
ナナミのどこでも変わらない元気な挨拶に、苦笑を浮かべながらリオウ達も答える。
遅れても挨拶を終えると、空いていたジョウイの隣に腰掛ける。それを確認した所で、斜め前に座るリオウが切り出した。
「今ジョウイと話してたんだけど、今後どうする?」
達はこうして保護されるように、砦のお世話になる事になった。そうした今、今後どうするのかという事を朝食を挟みながら彼らは話していたらしい。
早速一口にちぎったパンを嚥下し飲み込んだところで、は言う。
「とりあえず、今日はビクトールさん達の手伝いをしようと思う。」
「具体的には?」
ジョウイが尋ねると、リオウが言う。
「昨日、ビクトールさんが言ってた仲間集め?」
は口の中の食べ物を咀嚼しながら頷く。昨夜人手が足りないと言っていた事から、それをは手伝おうと思っていたのだ。ただ飯食らいはこの砦のルールに反し、の中のルールでも反するからだ。――ついでにティル達を探そうといった魂胆も含まれているが。
「僕も同じこと考えてた。」
「あ、じゃあ一緒に行く?」
「あ、私も行く!」
「僕もそうしようかな。」
リオウの言葉にそう提案すれば、すかさずナナミが声を上げた。続くようにジョウイも言う。しかし四人で仲間集めとなると、あまり効率的ではない。何しろただの仲間集めだ。そこで二人組みに別れることになり、ナナミとリオウ、ジョウイとと別れることになった。
「よし、どっちが沢山仲間を集められるか競争だね!」
「リオウ・・・子供っぽいぞ。」
笑顔を浮かべたリオウに、ジョウイが呆れたように言う。取れたてつやつやの新鮮なサラダにフォークを突き刺しながら、はリオウを援護する。
「でも、そっちの方が煽られていいんじゃないかな。」
「そうこなくちゃ!負けないから!」
そう言ってリオウがに宣戦布告する。好戦的に目を光らせるリオウに、フォーク片手にも不適に笑った。
「ほほう、やれるんもんならやってみ!」
かくしてここに第一回、仲間集め競争が、傭兵の砦の食堂で開催されたのだった。
達はリューべへ向かい、腹を空かしていたリキマルという流れの格闘家を砦の食堂に連れてくることで仲間にし、更にもう一度リューべに向かい、そこでペットを探す美少女の手伝いをした所、少女のミリーが仲間に加わってくれることになった。加えて帰りの道中、鳥の巣を木の上に戻したことからリューべの近くの森で狩人をしている青年キニスンと相棒の犬シロも仲間に加わった。それに対しトトという村に向かったというリオウ達はザムザというちょっと変わった青年を仲間に加えることが出来た。
「負けた・・・。」
その結果、夕方の砦の食堂で、肩を落とし落ち込むリオウがいるのだった。
「そんなに落ち込まなくても・・・。」
面白がってはいたが、リオウ程意気込んでいなかったジョウイが苦笑すれば、リオウは首を振る。
「には負けたくなかったのに・・・。」
「なんで私限定なの。」
「なんとなく。」
本当に特に意味はなく、なんとなくからに負けたくなかったとリオウが言うと、は頬を引きつらせた。これは、馬鹿にされているのだろうか。
「でも、そうか・・・リオウ達はトトの村に行ったのか・・・。」
憮然とするの横で、ジョウイが顔を伏せて呟いたので、は彼に尋ねる。
「どうしたの?」
「いや・・・その、僕がお世話になった村がトトだったから・・・。」
「あ。」
リオウが目を瞬かせた。以前、ジョウイが急流に呑まれた後、トトの村で世話になったというのを思い出したからだ。
ジョウイがうろんげな目で見るのを笑う事で誤魔化そうとする。一つ息を吐くと、ジョウイは一同を見た。
「明日、トトの村に行ってみてもいいかい?」
「私はいいよ。」
「僕も。はどうする?」
ナナミが頷き、リオウも続いた。ジョウイが世話になったというなら、その村にジョウイを保護してくれた一家があるのだろう。
幼馴染として、親友として一言礼を言いたい。そこでリオウはを見た。は顎に手を当てると頷く。トトの村はまだ行っていない。もしかしたらティル達がいるかもしれない。
しかし、その村での出来事から、結果的にティル達から遠ざかることになるとは、その時のは知る由もなかった。
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