Skyting stjerner2-23

防衛戦は苦戦を強いられていた。ミューズ市の兵士を含めたビクトール達傭兵の数は僅か数百。ミューズの兵が加わったとしても、先の敗戦で兵の数は多く減ってしまっている。対してハイランド側は千は上る兵力だ。兵数は倍以上であり、差は歴然であった。
都市同盟の他都市の応援が来るまでの辛抱である。救いはミューズの立地を活かし、防衛を一手に絞った事だろう。
兵上会議の行われた丘は平原を見渡せる。そこに紋章隊を待機させ、一定のラインを越えたハイランド兵に協力魔法を放った。ハイランドの軍勢は関所のある山を越えなければ進軍出来ない。都市同盟側は数は多くとも一定方向に集中できた。とりこぼした兵士はビクトールやフリックといった先鋭隊が斬りこんでいく。やリオウ達は後方にて防衛線を死守しつつ、先鋭隊をフォローしていた。降り注ぐ紋章魔法に、ビクトール達先鋭隊の迎撃、アップルを主導としたはりめぐされた罠は上手くハイランド兵を足止めできていた。
しかし、兵力の差があまりのも大きい。達後方隊も小隊を三つに分け、交代で防衛線を守る隊、中ほどから前線までの先鋭隊のフォローを行う隊、息を整えながら物資を補給する隊としていたが、徐々に防衛線も下がりつつある。
「俺に案がある!」
ビクトールが声を張り上げたのは、それから数刻のことだ。まだ一日も経っていない。後退しつつある兵士達に危機感を抱いたのだろう。
前線で戦っていたビクトールは前を見据えると、大きく肩で息をするなり、勢いよく敵の布陣へと馬を駆けさせた。慌ててフリック達数名の前線に立つ兵士達がビクトールの背を追った。敵の布陣の中に斬り込んでいくなど、いくら彼でも自殺行為だ。だがそういう時に限り、敵は襲いかかってくる。ビクトール達が離れれば、後方隊が防衛線を死守しなければならない。今も遠ざかっていくだろう彼等に焦りと苛立ちを覚えながらも斬り捨てた、5度目のことだった。リオウ達と共にようやく敵陣の入り口へとたどり着くと、途端、声が張り上げられたのだ。
声は低く野太く、戦場に響き渡った。
「我がギルバートの名において、我らハイランドの傭兵部隊!ミューズに加勢致す!!」
達は驚きに目を見開いた。声は今討ち入ろうとするハイランド軍の中枢からだ。
―――ハイランド兵の中で寝返りが起こったのだ。
動揺は都市同盟にも走ったが、ハイランドはより狼狽した。互いに斬り結ぶこととなるハイランド兵の隙をついて、達は布陣の中を縫うように進む。もはやハイランド兵は仲間内との戦いで都市同盟への視線もそれていた。
すると、声の上がった中枢に甲冑をまとい背筋を正した壮年の男と、見慣れた茶色のざんばらな髪をした大男、ビクトールを捉えた。フリック達も無事のようで、既に他のハイランド兵を相手している。ビクトールは歯を剥き出しにして笑う。
「運が良かったぜ、まさか大将が知り合いだとはよ!」
戦いの最中、見知った傭兵隊を見つけてビクトールは中将に一騎打ちを申し込んだのだ。珍しく頬に切り傷をつけたビクトールが快活に笑う。
しかし上手くいったからよかったものの、ほぼ単騎で敵陣へ電撃作戦をしかけ、顔見知りの敵中将へ一騎討ちを仕掛けるなど彼の豪胆さがなければ出来ないだろう。策というよりもごり押しだ。彼らしくはあるが。疲労した様子こそあるものの、大男であるビクトールと並んでも劣らない風格のある男、ギルバートはビクトールは握手を交わすと鞘から大振りの剣を引き抜き、ハイランド兵へと勢いよく斬り込む。ビクトールにこそ負けたが、彼もハイランドに雇われた傭兵を取りまとめている将だ。大きく振りかぶられた剣は、風を巻き起こし一降りで3人もの兵士を倒した。
「ビクトールのやつには敗けを期したが、私も傭兵長だ。
斬り伏せられたいやつは、かかってこい!!」
都市同盟に負けた兵だ。中将であろうとも疲労した今が好機。そう思い束になりかかろうとした多くのハイランド兵は、ギルバートの一撃とじろりと向けられた鋭い眼光に無意識の内に尻込みした。その様に剣を休め、ちゃっかり休憩していたビクトールは軽く口笛をふく。しかし続いて叩こうとした軽口は直ぐ様とんできた殺気混じりの怒りの眼差しに閉じた。背中に突き刺さるのは無謀にも敵陣に突っ込んだビクトールをフォローし、今も休むことなく先鋭隊を率いて戦う相棒であるフリックだ。大将の癖に何休んでんだ。誰のお陰でここまで来れたと思ってる。熱い眼差しには多弁にそう語っていた。ビクトールはとりなすように肩をぐるりと回す。
「よっしゃ、都市同盟の俺達も続くぜ!!」
張り上げられたビクトールの声は、ハイランド兵に追い討ちをかけた。
ここは下がった防衛線を引き上げるまたとない好機だ。敵陣の真っ只中、臆することなく前へと斬り込んだビクトールに、は今更ながら息を飲みこむ。は自身の力で、ここまで前線に出たことはない。出たとしてもあくまで紋章の力を便りに、周りを常に守られていたのだ。怯えは数瞬。共にここまで来たリオウとジョウイが真っ先に奮いただせるように声をあげハイランド兵へと向かったのだ。
ーーそうだ、独りではない。
守られるだけではない。共に笑い、技を競い肩を並べた彼等の頼もしい赤と青の背に、は覚悟を決め、前線へと斬り込む。
今は前へ。もう退くことは出来ない。

それから、風向きが更に変わる。ギルバートが率いるハイランドに雇われていた傭兵達がミューズに加勢して、間もなくの事だ。
「我はマチルダの青騎士団団長マイクロトフ。ミューズのビクトール殿に加勢いたす !」
援軍がやって来た。都市同盟の一つ、マチルダ騎士団だ。南下し山を突っきることで早く応援に駆けつける事が出来たのだ。普段から鍛えられている騎士団でなければ出来ない強行だ。率いるのは丘上会議で見かけた青い騎士服を纏った黒髪の精悍な顔立ちの青年、マイクロトフである。
後方からの声は達都市同盟をより勢いづけた。
マチルダ騎士団はすぐに前線まで押し上げてきた。騎士一人一人がきちんと訓練され、寄せ集めの傭兵の砦の面々とはまるで違う。中でも先陣を切るマイクロトフは鍛え上げられた体躯で片手剣を細身の剣のように軽々と扱い、騎士団中で最も抜きん出ている。
勢いは完全に都市同盟に回っていた。これならば勝てる!そう誰もが思い、目に見えてハイランド兵を押している時だった。
再び風向きが変わる。

前線の一騎の騎馬が伝令にやってきたのだ。混戦しているといっても、後方から一騎で前線までやってくることは難しい。しかし襲い掛かるハイランド兵を諸ともせず軽くいなし、颯爽と現れたのは赤い騎士服を身に纏った青年だった。
「マイクロトフ。ゴルドー団長からの命令だ。すぐに軍をもどして退却せよ!」
それは達には思ってもみない言葉だった。目を見開く達を余所に、突如割って入り伝令に来た赤い騎士服の男、カミューに青い騎士服の男、マイクロトフが声を荒げる。
「なにを言うカミュー!敵を前にして、騎士団が背を向けるというのか!」
「主君の命に従うのもまた騎士の務めだ。誓いを忘れたか?」
だがカミューは冷静に返した。それにマイクロトフは苦く顔で手綱を握る手を強くする。そして。
「マチルダの青騎士団、撤退だ!!」
そう声を上げたのだった。
「いったいどうしたっていうんだ!!」
ビクトールが溜まらず声を上げる。勝ちは目の前だというのに、ここに来て。だが彼等は訓練されているだけあって、すぐに戦場から退いてしまった。
仲間の裏切りに、目に見えて士気が落ちる傭兵部隊。そこで怒りに顔をゆがめながらも、ビクトールが声を張り上げた。
「負けるな傭兵部隊!!」
「俺達だけでも、ミューズを守るんだ!!!」
続いてフリックがそう叫ぶ。怯んだ傭兵部隊も、フリックの言葉に士気を取り戻す。否、確実にそれ以上に士気を上げた怒号を放ちながら、傭兵部隊は勝利を求め敵兵へとかかっていった。

空高く昇っていた太陽は下がり始めていた。西日からの日差しは最後の光を放ち、間もなく日も暮れ始めるだろう。巻き戻した防衛線は、まだギリギリ保てていた。ギルバート達元ハイランド側の傭兵が加わり、都市同盟側の数は倍に膨れ上がったからだ。
しかしハイランドから投入される兵は多い。戦場では拮抗しているようにみえるものの、倒しても倒しても新たな増援に対し、都市同盟側は疲労の色が隠せない。
息は疾うに上がり、汗と泥、赤黒く変色した血でへばりついた衣服もみすぼらしい。前線では当たり前だが、休むことはできない。だが後退することもできなかった。都市同盟側も前線に立ち続けている兵士は一人、また一人と減り続けている。保てているのはビクトールやフリック、ギルバードの力が大きかった。しかし少なくなった前線で一人でも下がってしまえば、なし崩しにハイランド兵に押されてしまうだろう。そう思い奮いただせるものの、体の節々が重く動きも鈍くなり始めている。顎を伝う汗を拭う暇すらなく、忙しくハイランド兵の次の動きを目で追い備えながらは思う。
ーーこのままでは・・・!
そう思うのは彼女だけではなかった。勢いこそ衰えていないが、都市同盟の気力が下がり続けているのに気づいているのだろう。減り続ける仲間に、ビクトールが苛立ちを隠さずに声をあげる。
「増援はまだか!!」
斬っても斬ってもキリがない。フリックもまた、ハイランド兵を倒しても沸く新たな増援に舌打ちを溢す。
「くそっ・・・!!」
戦い慣れているハイランド兵を前に、寄せ集めの都市同盟側としてはなんとしても日が暮れるまでに押しきってしまいたい。日が暮れてしまえば、夜目が利く訓練された兵士相手では圧倒的に不利なのだ。しかし、防衛線を守りきることが精一杯で、現状はそれも瓦解する手前だ。維持することに手一杯になり前を見据えるばかりであったは気付かなかった。
何か、打開する手立てはないか。このまま日が暮れてしまえば防衛線も突破され、攻め込まれてしまう可能性が高い。なにか、なにかなにか手立てはないかーー。
と同じように疲労しながらも、辺りを見回していたリオウの拳が一瞬、震えた。
リオウは次の瞬間あることに気付き、声を張り上げる。
「ビクトールさん!一旦退却しましょう!」
「何言ってるんだ!ここで「いいから!」」
突然のリオウの言葉はビクトールだけではなく、都市同盟の面々に衝撃を与えた。即座に反論の声をあげたビクトールを、しかしリオウは遮った。
鳶色の目は、意志を失うことなく前を見据えている。
一瞬、ビクトールは言葉を失った。
「勝ちたいなら、下がれっ!!」
いつになく強い彼の言葉に、彼の目に呑まれてしまう。それはビクトールだけではなくその場にいた前線の全員だ。親友の突拍子もない動きを宥めようとしたジョウイも、ナナミも。ギルバードやフリックさえ、そしても。武器を持つ手が一瞬止まる。
同時にビクトールやフリック、の中で思い起こされた人物は、奇しくも同じだった。
「・・・っ傭兵部隊!一旦退却だ!!!」
折れることない目に、ビクトールは次の瞬間退却の号令をだす。
腑に落ちない者も一部いたが、大将であるビクトールの命令だ。前線を速やかに翻し、達は後方へと下がる。都市同盟の退却に、ハイランド兵は勝利を確信した。追い討ちをかけ、手柄を立てようと多くの兵が後を追ってくる。しかし、あくまで退却を優先し達は振り向かず馬を走らせた。
そうして、後方部隊が見えるようになったところで、は後方部隊の中に見知った人物が混じっていることに気づいた。多くの兵が槍を構え、追い付こうとしているハイランド兵に備えている。ここでようやく、達はリオウの意図に気づく事が出来た。
躊躇いは消え、勝利に向かって馬を走らせる。
勢いづいたまま達前線部隊は後方隊と合流した。全員が横切り塹壕へと飛び降りた所で、見知った男、糸目のツァイが声を張り上げた。
都市同盟とハイランド兵の距離、凡そ二百歩もなかった。
「今です!!!」
轟轟とした炎が噴射し、なぎに走る。
辺りを火の海にしたのは、後方隊が手にしていた火炎槍だ。炎は塹壕を隔てても肌で熱さを感じさせた。砦の防衛戦でも活躍した火炎槍は、前回使用しすぎたことから火炎球の効果がきれ、刃零れも酷くなってしまった。それを大急ぎで鍛冶刀であるツァイを中心に、ミューズの紋章師の力も借りて直したのだ。
は先の敗戦で失くしたと思っていたが、フリック達は回収を忘れなかった。しかし、火炎槍の破損は相当なものでフリック達は間に合うことはないだろう想定していたのだが、さすがツァイだ。彼は寝る間も惜しんで間に合わせてくれた。
「なんとか、間に合いました・・・!!」
顔に色濃く疲労を残しながらも、ツァイは先を見据えながら熱風で頬を伝う汗を拭う。
修理された火炎槍は強さを取り戻し、ハイランド兵を十分に脅かす事が出来た。兵士達は先の威力を知っており、進軍を止めた。都市同盟側も無駄打ちを避け、ハイランドの動きに合わせ防衛に火炎槍を使う。
日が落ちるまで続いた膠着状態はハイランド兵の退却により幕を閉じる。日が暮れてしまえば不利になるのは都市同盟であったが、火炎槍があれば別である。
戦いは、なんとか都市同盟の勝利で終えたのだった。


多くの兵を失った。しかしどんな窮地でも力強いビクトール達の掛け声や、諦めることなく周囲を見回していたリオウや、急ぎ修繕を行ってくれたツァイがあったからだろう。何度となく危機には陥ったが、押し切るように勝つことが出来た。
「皆よくやってくれた。今日はゆっくりと休んでくれ。」
勝ちの祝杯をあげる酒場にて、アナベルが笑顔を浮かべて音頭をあげる。だが解放軍で勝利の宴を経験したことのあるは、盛り上がっているものの、その日の宴はどこか陰を持つものだと感じた。やはり誰もが途中で加勢部隊が退いた事が脳裏にあったのだろう。
「よっしゃ、酒だ!野郎ども!飲むぞぉ!!」
「あまりはめを外しすぎるなよ。」
しかしビクトール達はいつも通りだった。彼等の陽気さに連られて、傭兵の面々の表情も明るくなっていく。戦いは凄惨なものであった。しかし、いつまでも気を張っているわけにはいかない。時に息抜きも必要である。達も笑みがこぼし、つかの間の勝利を楽しむのだった。

「そういえば、」
同じ卓についていたナナミがそう零す。視線を彼女へと向けると、ナナミは嬉しそうであった。「こういうのって初めてだね。」
達は目を瞬かせる。彼女の言う通り、は除いてリオウ達は戦の宴など初めてであった。勝ち戦はあったが、その後すぐ攻め込まれたためそれどころではなかったのだ。ナナミの言葉に今更気づいたリオウ達も、頬を緩ませた。
「そうだね。」
リオウが嬉しそうに頷く。周りはビクトール達の酒乱騒ぎで騒がしいが、達の席は言葉も少なくなる。何しろ、それまでがそれまでだ。胸に押し寄せるもののもひと押しであった。だがそれぞれの沈黙を打ち破るようにナナミが突然リオウ達の目の前にあるものを置いた。音を立てて卓に置かれた物に、リオウ達は目を瞬かせる。そして中に入っている液体の色を見て、更に瞬かせた。
「「・・・お酒?」」
赤色の液体が入った瓶を前に、リオウ達は首を傾げる。そんな彼等にナナミが笑顔で答えた。
「今日ぐらい、許してあげるわ!!」
「だ、だめだって!!」
すかさずが待ったをかける。慌てて瓶を取り上げ、声を荒げた。
「リオウ達はみ、未成年ではないかもしれないけどよくないよ!体によくないよ!!」
途中で赤月帝国では15で成人だという事を思い出し、付け加えては言う。やはり駄目だ。20歳になるまでのお酒は見過ごせなかった。法律は守りましょう!!健やかなる己の成長の為に!!そう言えば法律って何?と彼等に言われそうなので心の内だけでそう言ったが。途端ナナミが口を尖らせる。
「いいじゃない!」
「駄目!駄目ったら駄目!!」
のケチー!」
「ケチでいいです!!」
は手に持つ瓶をビクトール達の卓に置いた。あそこに置いておけばすぐになくなってしまうだろう。ナナミがそれに更に口を尖らせたがはこればかりは譲らなかった。健全な成長のためだ、少年少女。
「そういえば、って違う国の人なんだっけ?」
賑やかな二人のやり取りを苦笑を浮かべていたリオウだったか、ふと思い立ち尋ねる。
ナナミのブーイングを交わし席に着くと、は苦笑いを浮かべて頷いた。「うん、そうだよ。」
「なになに?じゃあもしかして、その国じゃあ、お酒飲んじゃだめなの?」
「20歳になるまでは駄目なの。」
ええーと驚きの声をあげるナナミに、こちらの方が上げたいとは思った。そこで水の入ったグラスを片手にジョウイが尋ねる。
「じゃあ、の好きな人もその国出身なのか?」
途端、は顔が赤くなるような心地がした。我に返り、慌てたようにジョウイを見る。
「ジョウイ!」
「今更だろ。」
だがジョウイといえばそう言って優雅に水を飲むのだった。飲んでるのはあくまで水なのに。涼しい表情で実に絵になる。は歯噛みする。確かに今更ではあるが。そんなに、ジョウイが再度尋ねる。「で、どうなんだい?」
「・・・違うよ、旧赤月帝国の人。」
するとなぜか目を瞬かせる三人。首をかしげ何か変な事を言ったかと思えば次の瞬間、彼等は三人揃って目を輝かせた。なんなんだ。そう思いながらもはグラスに口づける。
「それって、トランの英雄と同じじゃない!!」
そして思いっきり噴出しそうになった。危ない。口に含む前でよかった。零れた訳ではないが念のため口を拭いながらは彼等を見る。
「な、え?」
「トランの英雄って旧赤月帝国出身なんでしょ!」
ナナミが胸の前で手を組み強くそう言う。いや、その通りだが。
「でも、解放戦争の時ってみんなほとんど赤月帝国出身だったけど・・・。」
すると再び目を瞬かせる三人。そして面白いくらい同時に首を傾げて言った。すごいぞ、キャロ幼馴染組。既にムクムクは卓の隅で寝てるが。
「「「そうなの?」」」
はそれに頷いて見せる。すると三人とも残念そうな表情を見せた。これでその話題は終わりかとはほっとしたのだが、思わぬところで話は続いてしまう。
「でも『だった』て・・・前から思ってたんだけど、ってもしかして解放戦争に参加してた・・・?」
鋭い指摘はリオウだ。思わず固まるにナナミが目を瞬かせて言った。
「そうなの!?」
「え、いや、うん。まぁ・・・。」
これは隠す必要もないだろう。は頷く。そしてその選択が間違えだったと気づくのだ。ナナミの目がいつかのように輝いたからである。そう、つい先程のように。
「じゃあトランの英雄とも知り合い!?!?」
「・・・・うん、まぁ、知りあいというかまぁ、うん。」
「ええーいいなぁ!!!」
え、あれ?話が戻ってる?なぜ?
「羨ましい。」
するといつもは涼しい振りする癖にジョウイまでぼそりと妬ましげだ。は頬を引き攣らす。もしかしなくても。
「「!トランの英雄のこと、教えて!」」
笑顔で言うナナミとリオウ。二人の脇でこちらを熱い視線で見るジョウイ。目を何時になく輝かせた三人を前には思う。
こいつらティルのファンだ。


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