近づく終わり

DreamMaker2 Sample いや、先生の目って綺麗じゃん?その先生が目が綺麗っていうからさ。先生の目は六眼なら、お嫁さんは七色眼とかそんな感じなのかなーって勝手に想像してましたすみませんでした。
固まる花子に虎杖はそう連ねて言い訳をしたが、花子が問いただしたいのはそこではなかった。花子の様子に気分を害したのかと素直に丁寧に頭を下げて謝罪する少年は、随分と純粋であるらしい。となれば。視線を真横に立つ少年の教師へと向ければ、長身の男はわざとらしく視線を逸らしている。
うん?いつ結婚したのかな私。しら〜と向けられる熱視線に、しばらくすると耐えきれなくなったのか、五条はようやく顔をそむけるのをやめた。
黒い目隠しを付けたままの男の目は見えない。しかし、男は輝かんばかりににっこりと微笑んだ。そして少年へと花子の説明をし始めたのである。ぺらぺらと語る五条は、目を細める花子の視線にも微動だにしない。白々しい程の開き直りで話の路線変更であった。コイツ、これでも教師である。男が受け持つ少年の誠実さを僅かでも煎じて飲ませたい程だった。
粗方、花子の説明が終わると五条は次に少年についての話を続けた。少年の名前は虎杖悠仁。元一般人であった彼だが、諸事情で数週間前に仙台から高専へと編入したばかりの一年生だった。
その諸事情というのが、花子が見える原因だろうと五条は語る。術師の家系ではない少年には五条のような特別な六眼も、まして人であるからパンダのように呪骸でもない。
少年はとある事件から、特級呪物である『宿儺の指』を飲み込んだのだという。
『宿儺の指』は数千年前に実在した呪霊であり、死してなお滅し消えれず残った指には、強力な呪いが込められていた。滅することも、完全に封印しきることも出来ない。しかし呪いの王とも呼ばれる男の指を口にして、無事であった虎杖は数千年現れなかった器だった。
呪いの王の指を口にしたことでそれまで見えなかった呪霊が見えるようになった虎杖だったが、おそらく花子が見えるのも十中八九その影響だろう。例え指であったとしても、宿儺は呪いの王だ。
五条の説は当たっているのだろう。納得する虎杖の傍ら、花子も頷きはするが若干腑に落ちない。嫁云々の話をいいように誤魔化されたような気がする。実に突っ込んで聞き出したいが、こうも笑顔で『私は何も疚しいことはしてません。この身は潔癖です』といわんばかりの男の堂々とした様子に今更蒸し返しにくかった。男に追及したところで、藪が蛇をつついてしまうような、そんな予感がしたのである。僅か数か月共に暮らしただけだが、この男の図太い神経を花子は理解していた。ここまで開き直っている様子だと、こちらが幾ら吠えたところでどうやったって上手く丸め込まれてしまう経験しかなかったのである。
本当はつっこみたい。思いっきり指摘したい。しかしそこは男へと浮かんだ直感に従い、花子はぐっと堪えることにした。
何故か嫁だと告げていたようだが、この男の事だ。どうせ飯炊き兼居候としか思っていないだろう。ただ花子の事情を説明するのはややこしい為、面倒だと思って説明が短くてすむような、簡単な形容で例えたに違いない。ーーこっちは、思わぬところで嫁扱いされていたと知って、心がざわついたというのに。微塵も気にした様子のない五条の涼しい横顔に花子は腹の底から苛立ちが湧き上がるのを感じた。
相変わらず不審者然の装いにも拘わらず、目隠しをしていても美丈夫だとわかる容姿である。これだけ顔立ちが整っていれば、性格があれで口が常に喧しい男でも周りは放っておかないだろう。苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる花子を他所に、虎杖がしみじみと言った。
「お姉さん、大変だったんだなぁ・・・」
虎杖の反応に、花子は目を瞬かせた。幽霊なのだから、怖がられても仕方がないと花子は思っていた。しかし虎杖は数週間前までは普通の男子高校生であったにも拘わらず、平然と花子という存在を受け入れたらしい。
「俺、まだコッチの事はあんまりよくわかんねーけど・・・俺に何か出来ることがあれば、なんでもするんで!・・・あ、よかったらコレ食べます?」
そう言って少年は片手にぶら下げていたビニール袋に手を突っ込む。ガサゴソと中を漁ってから少年はわざわざ夜中に買いに行った戦利品であろうお菓子を差し出してきた。
「お供えものじゃないっスけど・・・。あ、でも幽霊って食えんのかな?」
虎杖少年は今時珍しい程根が真っすぐとした少年であるらしい。花子は首を傾げる虎杖の頭を思わず撫でたくなった。しかし、仮にも男子高校生相手にそれはないだろう。
「食べれるよ。ありがとう、虎杖君。頂くね」
手を伸ばしたくなる衝動をぐっと堪え、花子は礼を述べてお菓子を受け取るのだった。

「たまには会いに来てあげてよ」
五条は帰る間際、唐突にそう口を開いた。
呪霊が現れてもすぐに祓うことは出来るが、呪具の効果はすでに切れている。念のため先に花子を五条の家に帰してから、曲がりなりにも教師として五条は近くの駅まで虎杖を見送った時である。
五条の様子に、虎杖は目を瞬かせる。男の口調はそれまで交わしていた下らない話とは違って随分と柔らかなものだ。帰る間際の一言は主語もないが、誰の話をしているかだなんて一目瞭然だった。それ程までに穏やかな口調で、相変わらず目隠しで目元は見えないが恐らく慈しむような瞳をしているのだろう。
たった数分だったが二人の様子からして、いくら周りから鈍感と呼ばれる虎杖ですら担任である教師に花子さんが振り回されてるんだろうなぁとは思ったが。五条の様子に考えを改める。
「さすがに高専には連れていけないからさ。ま、上に見つかったとしても潰すけど」
肩を竦めて軽く言ってはいるが本音だろう。それだけ幽霊の彼女を想っているらしい。虎杖は五条を尊敬している。しかし五条が軽薄であることは短い付き合いでも十分に理解出来ていた。飄々として捉えどころのない人間、それが五条悟だ。最強で、尊敬出来るけどお世辞にも思いやりといった言葉からは程遠い。そんな男が心から誰か思って行動するなど、虎杖からしても意外に見えた。
ーー本当に好きなんだなぁ
「もちろん!任せてよ!」
むずむずとした善意が湧き上がり、虎杖は考える間もなく即答する。生きてる人間と幽霊。その恋の成就はとてもじゃないが難しいだろう。それでも、恩師の恋を心から応援したかった。最強たる彼には不要だろうが、幾らでも出来ることをしよう。そうした心つもりで頷いた虎杖は、それから何回か花子の話し相手として五条宅を訪ねることになる。
一方で五条といえば、純粋な教え子を花子と会えるようにしたのには理由があった。花子が寂しい思いをしないように。男が珍しくも、そう思った事が大部分であったが、それだけであれば花子が気に入っているパンダにでも来てもらえばいいだろう。
しかし、五条からすればアレは駄目だ。どうにも見た目が動物だからか花子は触れようとすることに遠慮がないし、隙あらば抱き着きそうである。初対面の時ですらそうで、それからも会話に上がるたびに抱き着きたいモフりたいと言うのだから、会う機会が増えれば確実にするだろう。
ついついジェラって、毛をむしりとって毛皮にしてやろうか。なんてうっかり思いかねない。呪骸だから死なないだろうが、さすがにそれをしてしまえば花子さんも怒るだろう。けど、こればっかりは本心なのだから仕方のない事だ。抱き着こうとする花子さんが悪いのである。
しかし、悠仁であれば別だ。さすがに男子高校生相手に気安く触れようとはしないだろうし、悠仁自身も根が良い少年の為境界線を越えることはないだろう。プラス、彼ならば五条の恋を応援しようと善意でアピールをしてくれるに違いない。勿論五条自身もアプローチに手を抜くつもりは微塵もないが。
加えて花子の心残りの一つになればいい。心残りは増えれば増えるほどいい。
先生でも善意で行動したりするんだなぁ、なんて感動する教え子の内心とは異なり下心満載の五条の提案である。
しかしそうした五条の考えによって、図らずとも着実に、花子は『あの人』へと近づいてしまうのだった。

***

気が付けば見知らぬ地にいた花子は、それから必死に日々を過ごした。
初めは偽りだらけの履歴書が何時ばれてしまわないかと大層肝を冷やした。なにしろバレた詐称罪である。しかし、そこはほぼないともいえる花子の運が働いたらしい。バレずにコンビニのバイトと採用され、そこからは無我夢中である。ようやくカプセルホテルや満喫ではなく、ひどいときは公園での生活も余儀なくされたかなんとか小さな部屋を間借りできるほど稼げた。
三か月をかけて得た、花子だけの小さな城を眺めて花子は意気込む。ここから、だ。住まいが確定したところで、結局のところ花子の母校は存在していないので経歴は嘘を並べなければならないだろう。それでも、少しずつ前を向けている。今はもう、この世界に来たばかりの頃のような深い絶望はない。
ふと、脳裏に過る。黒いランドセルを背負った頬に絆創膏を貼っていた少年。これも彼のお陰だった。道端に蹲る見知らぬ変な大人を避けることもなく、ぶっきらぼうではあったけれど気に掛けてくれた少年。
ーーいつか、またあの子に会えるだろうか。
会えたらいいなぁ、と花子は思う。ようやく生まれた僅かな余裕で、花子はそう思い少年と出会った道端へと時間を見つけては向かうことになる。ランドセルを背負っていたから、恐らく近隣の小学生なのだろう。この辺りの小学校といえば、一つしかないからあそこだろうか。けれど門前の前で待っていても、花子は少年の保護者でも何でもない。たった一度、少年と話しただけの関係である。
自然を装って再会できるのが一番だなぁと思った花子の考えは、意外にも早い段階で叶うことになった。数日後、偶然にも少年と道端で再会できたのである。
少年はあの時のことを覚えていてくれたようで、花子を見て吊り上がった目を丸々としていた。早速、あの時のお礼を告げようとした花子だったが、それは少年へと声を掛けてきた少女により遮られる。
焦げ茶色の長い髪をポニーテールにした少女は、少年の傍にいる花子に目を瞬かせていた。
彼女は少年の義姉だった。加えて随分としっかり者で、慌てる花子を不審者扱いすることもなく花子の事情を聴いてくれた。ーー知らない土地云々は決して言えなかったけれど、落ち込んでいたところ少年のお陰で励まされたのだと。
想定外だったのは、少年が話始める直前でそっぽを向いて帰路についてしまったことであったが。話を聞き終えた彼女は、子供に励まされた情けない花子を揶揄うこともなくにっこりと微笑んだ。そして誘ってくれたのである。「よかったら、一緒に夕ご飯食べませんか?」
「ええと、でも、それはお家に迷惑がかかっちゃうんじゃ・・・」
躊躇う花子に、彼女は笑った。
「うち、両親いないんです。恵と私だけ」
思わぬ言葉に、花子は言葉に詰まった。大人でも躊躇うような内容と口にした彼女は、けれど気にしていないらしい。平然とした様子で続ける。
「恵は照れて帰っちゃったし」
照れていたのだろうか。すぐに踵を返していたから花子にはそうは思えなかったが、義姉の彼女からすればそう見えたらしい。
少女は続ける。
「お姉さん、恵に会いに来てくれたんですよね?
 あの子、友達いないから。私今すごく嬉しいです。だから、お姉さんさえよかったら。どうでしょうか?」
彼女の表情は、元来のものかもしれないが確かに始終明るかった。ここまで少女に押されてしまえば断るのも心苦しかった。
なによりも、少年より背は大きいものの、同じように赤いランドセルを背負う少女もまだ小学生だろう。なのに、両親がいないという事実が花子には気になった。
「・・・なら、今日のお夕飯はお姉さんがご馳走するね」
大したものは、買えなくて申し訳ないけれど。そう告げても、彼女は随分と嬉しそうに表情を綻ばせた。小さなまろい手が、花子の手を掴む。
「こっちです!今の時間はあそこのスーパーが安いんですよ!」
そう言って、柔らかな手が花子を引っ張る。しっかりものの少女、津美紀に押されて、花子は夕日の落ちた坂道を登っていった。
材料を両手に家にお邪魔すると寛いでいた少年に思いきり顔を歪められたが、後々、花子もそれが少年の照れ隠しだと分かるようになっていく。花子も生活に必死な為毎日訪れることはできないが、度々二人の様子を見に訪れるようになるのだった。
後に知ったが、彼女たちの両親は蒸発してしまっているが、代わりに生活費を工面してくれる存在がいるらしい。家族ではない為一緒には暮らしていないが、まさに足長おじさんのような存在だ。だから生活には苦労していないというけれど、二人は子供である。
幼いながらもお姉さんとして津美紀は家事をこなしているが、恵は掃除洗濯はするが料理は適当に食べれればいいだろうというスタンスらしく放っておけば好きなものばかり食べようとする。学年が上である津美紀が中学生となり下校が遅くなると必然と恵が料理を作るようになるのだが、心配で見に行ってみれば鍋に肉だけを放り込んでいた。
津美紀はしっかりしたお姉さんだが、やはり弟には甘い所があるのだろう。確かに、せっかく作ってくれた料理に不満はなかなか零せないだろう。仕方なく花子が栄養バランスが大事だと説くと、今度は考えなく野菜を放りこむようになったから花子は思わず頭を抱えたくなった。しかし、恵は恵で「食えればいいだろ」と素知らぬ顔で言う。実に合理的といえばそうだが、どうにもこの少年、ドライであった。
まあ、野菜を食べないよりはマシか。そう考えて、流したが花子が訪問するときは必ず花子が料理を振る舞う事になるのであった。少年の黒いランドセルがまだ居間に乱雑に放り投げれていた頃の話だ。そういえば、彼が通っていた小学校はなんという名前だったっけーーー

***

休みの日に虎杖が五条宅へ訪れるようになって、数回目のことである。
出会った当初から思っていたが、虎杖は実に明るい少年だった。五条とパンダ以外に自身を見えることの出来る人間だという事を抜いても、すっかり花子と虎杖は打ち解けるようになる。
この日の話は、花子が高専での様子が聞きたいといったので彼の学校での話を聞いていた。
同級生は二人いて、その内一人は地方から来たという女の子。もう一人は男の子で、数少ない同性の同級生ということもあって虎杖と仲が良いらしい。
「この前さ、また夜中に腹が減ってさー。今度はしっかり食堂の冷蔵庫使っていいって聞いたから漁ったんだけどよ。
 でもそういうときに限って簡単なもん何もなくってさ。
 そんとき、同級生が来たんだ。あいつも腹が減ったみたいでさ」
虎杖と話している時間は楽しく、ついつい夕飯を作る時間も押してしまう。気付いたときには遅く、花子はこの日の夕飯は鍋にすることにした。夜も遅いし折角だから、と虎杖も誘い、帰宅したばかりの五条も含めて鍋をつついていれば思い出したように虎杖が話し出した。
「簡単なもんなんもねーし、俺達腹は減ってるし。なら、思い切って鍋でも作るかーってことになったんだよ」
鍋を前に、虎杖が思い出すのは数日前の事だ。育ち盛りの男二人。簡単な食べ物では満足できず、空腹に耐えかねて真夜中に突然クッキングを始めたのである。
張り切って腕まくりをした虎杖だったが、その傍ら、同級生の意外な一面を見ることになった。虎杖は澄ました顔して、ざくざくと大降りに具材を切っていく同級生を思い出す。
「俺の同級生、普段なんでも出来るような顔してる癖に鍋に適当に具材放り込むだけ!栄養とれてればいいだろって。変なところで不器用なんだよなぁ〜」
「あいつストイックだからねぇ〜」
料理できない訳でもないだろーに。五条も教え子の姿を思い出して苦笑する。
同級生が作る料理はまさに男飯で、決して不味くはない。しかしそれじゃあ、と見かねて虎杖は手製の簡易つくねを作れば、普段動かない表情筋が若干緩んでいた。もくもくとつくねばかり食べていたから、気に入ってはくれたのだろう。
思い返してみれば、同級生の昼飯はいつも質素な物ばかりで虎杖からすれば随分と味気ないものだった。上手い物は嫌いではないだろうが、同級生はどうにも栄養と時間を考慮した効率のいい食べ方ばかりしているようにしかみえない。それじゃあ味気ないだろうに。あいつ感動してたみたいだから、今度つくねの作り方でも教えてやろうかな。そう虎杖が考えた時だった。
「へ、え・・・」
花子の表情が僅かにぎこちなく固まる。それまでにこにこと楽しそうに話を聞いていた花子の様子に怪訝に思い、五条が箸を止めた。
「・・・花子さん?どうかした??」
仕切りに瞬きを繰り返し、動揺しているようだった。視線を彷徨わせ、花子は緊張した面持ちで口を開く。
「・・・ね、その同級生君って、どんな子、かな?」
虎杖の脳裏に、同級生の姿を思い浮かべる。正にクール、という言葉が合う同級生はいつも澄ました顔を浮かべて、けれど中身はなんだかんだいって面倒見のいい奴だった。鋭い黒曜の目に整った鼻梁。白い肌で同級生は端正な顔立ち、というものなのだろう。けど何よりも特徴的、といえば。
「黒髪のウニ頭!!」
同級生の逆立った黒髪を見て、度々思っていた事を虎杖は率直に答える。
「あと、まつ毛がやたら長いんだよな伏黒って」
次いで、次に思ったのが睫毛長っ。これ、結構頻繁に思っている。虎杖だけでなく、もう一人の同級生であり紅一点である釘崎もそう思っているらしく唐突に眉を寄せて、煮え湯を飲まされたように苦言を呈していた。
「伏黒 恵・・・?」
「そうそう!・・・て、あれ?俺あいつの名前言ったっけ??」
思わず、花子を見た。そして見た花子の表情に息を飲む。
黒々とした瞳は切実なまでに前を見据えている。花子は何時にもまして、切羽詰まったような真剣な表情を浮かべていた。
「会わせてください」
花子の様子がおかしい、とここで初めて虎杖は気付いた。そろり、と視線を向ける。
付き合いの短いだろう自分が気付いたのだから、彼女を想いよく見つめている男が気付いていないはずがない。確実に彼女と過ごした時間は男の方が長いのだから。
そして映った姿に、虎杖は心の底から後悔するのだった。
「私、伝えなきゃいけないことがあるんです」
花子は真剣な表情で訴える。
傍ら、先ほどまで穏やかだった男の表情筋がごっそりと抜け落ちた様を見て、虎杖は本能的に背筋に冷たいものが走る。
ーーやばい、伏黒。俺まずったかもしれない。先生の目がやばい逃げてまじで。




/ TOP /